6月30日午前3時半ごろ、佐賀県伊万里市松島町の円通寺で火災が発生し、本堂や庫裏などが全焼しました。火はおよそ7時間後の午前10時58分に鎮火し、寺に住んでいた修行僧2人を含め、けが人は確認されていません。
火災が起きたのは、佐賀県伊万里市松島町にある臨済宗南禅寺派の寺院、万明山円通寺です。30日午前3時半ごろ、目撃者から「お寺が燃えている」「建物が燃えていて、1階から2階に燃え移りそうだ」と消防に通報が入りました。
現場は伊万里城山公園に近い高台にあり、付近には学校や保育施設、住宅などが立地しています。現場には伊万里・有田消防本部や伊万里署が出て、対応に当たりました。
通報を受けた伊万里・有田消防本部は、消防車およそ10台を現場に出動させ、消火活動に当たりました。火の勢いは強く、午前8時の時点でも消火活動が続くなど鎮圧には時間を要しました。夜明け前の暗い時間帯から始まった消火活動は長時間に及び、出火からおよそ7時間後の30日午前10時58分に鎮火しました。
伊万里署や消防によりますと、この火災で、寺の中心となる建物である本堂と、僧侶らが生活する居住スペースの庫裏(くり)などが全焼しました。本堂と庫裏は寺の中心的な建物で、これらが焼失したことになります。同寺には修行僧2人が暮らしていましたが、いずれもけがはなく、ほかにけが人も確認されていません。出火の原因は、これまでのところ明らかになっていません。
火災の影響で、現場のすぐ近くにある敬徳高校といまり保育園は、30日、臨時の休校・休園となりました。
円通寺は、伊万里市の中心部にほど近い高台に伽藍を構える古刹です。寺の言い伝えによりますと、南北朝時代の至徳年間(1384年から1387年)に創建されたとされ、およそ650年の歴史を持つとされています。創建は、寺に伝わる記録では伊万里貞によるものと伝えられています。本尊は聖観世音菩薩で、「お吉観音」の名でも親しまれてきました。また、円通寺は臨済宗南禅寺派の専門道場として、各地から訪れる僧侶が修行を積む場ともなっています。今回の火災のあった寺に住んでいた2人も、この道場で修行する僧侶でした。
歴史のある寺社は木造の建物が多く、火災に弱いとされ、ひとたび焼失すると元の姿に戻すことが難しいといわれます。日本では、1949年1月26日に奈良・法隆寺の金堂が焼け、貴重な壁画が焼損したことをきっかけに、翌1950年に文化財保護法が制定されました。さらに1955年には、火災が起こりやすい冬の時期にあたるこの1月26日が「文化財防火デー」と定められ、現在も毎年この日を中心に、消防や文化財の所有者、地域住民が連携した防火訓練などが全国で行われています。佐賀県内にも数多くの指定文化財があり、こうした文化財や歴史的建造物を火災から守る取り組みが続けられています。